ISISが破壊した文化財のCG復元 一般人でも協力可能な画期的方法とは?

パルミラ遺跡
パルミラ遺跡の破壊前(左)と破壊後(右) アーチが無くなっている

ISISの文化財への蛮行は皆さん記憶に新しいと思います。2014年7月のナビ・ユヌス聖廟の爆破を始めとし、2015年2月には古代都市ハトラ、2015年8月にはパルミラ遺跡と次々に歴史的な文化財の破壊を繰り返しています。これらのISISの行為に対しユネスコは「文化浄化」という極めて強い言葉で批判しました。

これらの破壊されてしまった文化遺産に対し、ただただ失われていくのを見守っているだけではISISの思う壺です。しかしイラク、シリアは未だ戦いが続く危険な状態。そこでイタリアのブルーノ・ケスラー財団の考古学者マシュー・ヴィンセントさんは画期的な方法で文化財復元を行おうと努力しています。文化財復元というと何だか専門家が行う難しい作業で、何も知らない一般人の我々には何も手伝えないような気がします。しかしヴィンセントさんの考案した方法ならば一般人でも協力が可能なのです。
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キン肉マン第180話「不殺の殺人技!!」感想

キン肉マン第180話「不殺の殺人技!!」の感想です。未だ試合はネメシス優位で進み続け、半反撃の糸口さえつかめないキン肉マン。繰り出したのはキン肉族の技ではなく師匠カメハメから受け継いだ48の殺人技の1つ「超人絞殺刑」。果たして逆襲の一手となるのでしょうか。
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江戸の肉食禁止令 ~いろんな抜け穴がありました~

肉たち

江戸時代、獣を殺してその肉を食う、いわゆる『肉食』は禁じられていました。しかし実際には庶民は隠れて肉食を行っていました。今回はなぜ肉食が禁じられたのか、いかにして庶民はそれを切り抜けたかなどを中心にまとめました。
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蚊を絶滅させるには  ~古の知恵から最新の遺伝子操作まで~

夏も真っ盛りな今日この頃。蒸し暑い夏の煩わしさに追い打ちをかけるように蚊も元気に活動します。耳元でブーンとうるさい羽音を立てたり、血を吸って皮膚をかゆくしたり、挙句の果てにはマラリアやデング熱などの感染症をバラ撒いたり。まあとにかく人間にとっては迷惑この上ありません。蚊が居なくなってくれないかなぁと思った人も一人二人ではないと思われます。

実際、有史以来人間は蚊と戦ってきました。特に蚊が「ただの迷惑な虫」ではなく「感染症の媒介となる危険な虫」ということが判って以来、人類は本腰を上げてその対策を考えてきたのです。

今回はその人類が編み出した蚊に対する対抗策を調べてまとめてみました。

殺虫剤 ~種類と問題点~

蚊を退治する方法として最もポピュラーなのはやはり「殺虫剤」だと思います。手で引っ叩くよりも確実に、しかも広範囲の蚊を殺すことができます。

主な殺虫剤

古くからある蚊用の殺虫剤と言えば「シロバナムシヨケギク」が挙げられます。真っ白な花をつける菊の一種で、乾燥させて燃やすときに発生した煙が蚊にとって有毒な成分(ピレストリン)を含んでいます。かつては蚊取り線香の原料となっていました(開発者は「金鳥」の社長:上山英一郎さんでした)。人や家畜などに無害なためとても重宝され、日本国内では大々的に栽培し生産をしていました。日本が最大産出国で海外(主にアメリカ)に輸出も行っていたそうです。

現在はシロバナムシヨケギクは栽培されておらず、科学的に生産された成分を含んだ殺虫剤が使用されています。先述のピレストリンに似た化合物を人為的に生成し濃縮したピレスロイド系殺虫剤、DDT(ジクロロジフェニルトリクロロエタン)などを用いた有機塩素系殺虫剤が現在使われている主な殺虫剤です。

「DDT」を用いた殺虫剤は効果絶大でさらにコストが非常に低いというメリットがあります。そのため半世紀以上前にできた薬剤としては古い部類に入るにも拘わらず、今でも現役で使われています。最も蚊と蚊が引き起こす感染症に困っているのは発展途上国ですが、彼らにとってコストの安さは非常に重要なパラメータです。なのでもっと効果的な殺虫剤が開発されたとしても、DDTのお株を完全に奪うことは難しいでしょう。

DDTの欠点

DDTという安くて効果的な殺虫剤があるなら新しい殺虫剤なんて不要ではないかと思われる読者の方もいらっしゃるかもしれません。しかしDDTにはいくつかの問題点があります。

一つ目は「残留性」です。DDTなどの有機塩素系の化合物は自然には分解されにくく、使用された殺虫剤の成分が土壌や水中に長期にわたって残り続けるのです。これらの成分が生物体内に取り込まれ蓄積されていくと食物連鎖を通じて肉食動物や人間まで残留成分を取り込むことになります。これを生物濃縮と言います。

DDTの残留性の脅威を警告し社会的ベストセラーになった本がレイチェル・カーソンの「沈黙の春」でした。沈黙の春では残留性に加えDDTの「発がん性」も警告しており、一時的にDDTの使用が全世界で禁止されるなど社会に大きな影響を与えました。しかし現在ではDDTの実際の発がん性は「B2:危険があるかもしれない」レベル(5つのレベルの中で上から3つ目)と見なされており、規制はあるものの再び使用が解禁されています。

二つ目は「DDT耐性蚊」が発生したことです。つまりDDTでは死なないように進化した蚊が発生し始めたのです。DDTの残留性と多くの場面で使われ過ぎたことが原因となり、ナトリウムチャネルが変異した蚊が生まれまてしまいました。こうなってしまうと対策は厄介で、別の手段を講じるしかありません。しかしDDTよりも廉価で効果的な手段というのはなかなかありません。皮肉にもDDTの長所が裏目に出てしまったのです。

忌避剤 ~虫よけ~

忌避剤(虫よけ)とは蚊が嫌がる成分や、蚊が獲物をうまく認識できなくなる成分などを含んだ薬剤です。忌避剤を体の周りに噴霧すれば蚊が近づいてこなくなったり、近づいてきても吸血しなくなったりします。

一見すると蚊の数を減らすことに貢献しないように思われるかもしれません。しかし蚊にとっては死活問題なのです。なぜメスの蚊が血を吸うかというと卵を産むために莫大なエネルギーが必要となるからです。つまり「メスの蚊が血を吸えない」=「卵が産めない」=「成虫となる蚊が減る」という図式が成り立ちます。つまり蚊を殺すというよりは新たな蚊を産ませないというのが忌避剤の基本コンセプトになります。

古くはヨモギやスギの葉っぱに火をつけて、煙で蚊を追い払う「蚊遣り火」という行事がありました。実際の効果の程はわかりませんが、夏の風物詩になるほど盛んに行われていたようです。昔の人の蚊に対する苛立ちが感じられます。

ディートによる虫よけ

最近ではディートDEET:N,Nジエチル-3-メチルベンズアミド)という化合物を使った忌避剤が主流です。蚊だけでなくダニなど他の昆虫に対しても効果があります。また昆虫とは全く異なる体構造をしたナメクジなどにも一定の効果があるそうです。持続時間は濃度によって異なりますが、市販のものであれば4~6時間は持続するようです。

ディートがどうして蚊に対し効果を発揮するのかは未だわかっていません。実験により蚊はこのディートを嗅覚を通して検知しているとわかりました。しかしそこから先は解明されておらず、「嗅覚受容体を麻痺させ獲物を認識できなくなるから」「特殊な嗅覚受容体で認識されて警戒状態になるから」といったいくつかの有力な説があるだけです。

ディートもDDTと同じように安価であり世界中で使われています。注意点は幾つかあり「プラスチック、皮革に害を与えることがある」「肌荒れを起こすことがある」などです。とくに乳幼児への使用は用法容量をよく読んでから使用しましょう。

ボウフラ駆除

自由自在に飛びまわる小さな蚊を一々駆除して回るのはとても大変です。開けた場所ならば逃げてしまいますし、室内ならいろいろな物陰に隠れて攻撃を避けることができます。駆除どころか見つけるのすら一苦労です。そこで狙いを蚊の成虫から蚊の幼虫、すなわち「ボウフラ」に切り替えて駆除することで蚊の数を減らしていこうという作戦です。

メリットは2つあります。一つ目は「駆除するときに逃がしにくい」という点です。ボウフラは流れのない水場(水溜り、沼など)で生まれそこで育つ生物であり、陸に上がることも空を飛ぶこともできません。故にその水場を制圧してしまえばそのボウフラは逃げることができなくなり確実に駆除することができます

二つ目は「一度に大量に駆除することができる」という点です。蚊は一度に数百個の卵を産みます。さらに卵や幼虫はフェロモンを出し他の蚊たちもそれに誘われて近くに卵を産みやすくなります。つまり一か所の水場に多くのボウフラが密集している状態になるのです。故に大きな水場で駆除すれば一度に数百匹以上の未来の蚊候補を退治できることもあるのです。

ボウフラ駆除の方法

駆除の方法は幾つかありますが手っ取り早い方法は「水を捨ててしまう」ことです。ボウフラは深さ10センチもないような小さな水溜りや側溝の淀みでさえ生息することができます。そのような小さな水溜りに対しては水を抜いて干上がらせてしまうのが効果的です。新たな水溜りを作らないように抜き上げた水はアスファルトや日当たりのよい地面に捨てましょう。

池などある程度の広さがあるものなら鯉や金魚、フナなどボウフラを食べる動物を放っておけば勝手に駆除してくれます。江戸時代の城下町ではお堀や庭の池などには鯉が付きものイメージがありますが、これは元をたどれば夏のボウフラ対策の一環でした。非効率的な部分もありますが、泳いでいる鯉たちを見ると風流で心が安らぐ気がします。でも池や川へ勝手に鯉や金魚を放流するのはいけませんよ。

近年研究が進んでいるのが「BT」を使ったボウフラ駆除です。BTとはバチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)と呼ばれる土壌細菌のことで、この菌がボウフラに食べられ消化されることで毒性を発揮してボウフラを殺します。BTの菌株の芽胞とCry結晶(BTが持つボウフラを殺す毒素を発するたんぱく質)を混ぜ合わせた錠剤は「BT剤」と呼ばれ海外で製品化されています。使い方は簡単で、ボウフラがわきそうな水溜りに錠剤を投入するだけです。ただし日本ではBT剤の販売・利用は禁止されています。生態系への影響人体への影響がネックになっています。

その他の方法としては水溜りに油を張る(ボウフラが呼吸できなくなり死亡する)、銅(10円玉、銅線)を水溜りに入れる(9割が羽化できなくなる)などの方法があります。

進化する蚊帳

蚊帳は蚊の接触を物理的に遮断する防御器具です。薄くて目の細かい網のような素材で部屋の入口や身の回りを覆うことで風を通しながらも蚊のいない密室を作ることができます。古くからあるものですが最近の日本ではあまり一般的ではなく、実際に見たことがないという人も多いでしょう。しかし適切に使えば蚊の攻撃を100%防ぐことができる堅牢さを持っています。

日本では滅多に見られなくなった蚊帳ですが、海外に目を向ければ現在でも途上国を中心に使われています。しかも我々の知っているただの蚊帳ではなく、進化を遂げた「蚊を殺す蚊帳:ITN(Insecticide-treated nets)」が活躍しています。このITNという蚊帳は繊維にピレスロイド系殺虫剤が塗り込まれており、蚊が接触した際にその殺虫成分が付着するように作られています。ただ蚊による吸血を阻止するだけでなく、近くに寄ってきた蚊を仕留めるトラップにもなっているのです。

遺伝子操作による蚊の根絶

今までの上に挙げてきたような方法では蚊の数を減らしたり、蚊に刺される人の数を減らしたりすることは可能です。

しかし蚊を絶滅させるには今一歩足りません。絶滅させるには隅々まで調べ蚊を見つけて退治しなければならないからです。例えば孤島など外界と隔離された空間の中でならこれは十分に行うことは可能でしょう。ですが普通の環境の中で蚊を全て見つけ出し退治していくことは”人間の手では”ほぼ不可能です。ここで、”人間の手では”というところがポイントです。

よく考えればしっかりと蚊を見つけ出して蚊を退治してくれるなら別に人間でなくてもいいのです。では蚊を勝手に見つけ出してくれる生物とは?それは他ならぬ『蚊』自身が適役でしょう。産卵期になればオスの蚊もメスの蚊も必死になって異性の蚊を探そうとするからです。

しかし問題は当然ながら「蚊は蚊を退治しようとはしない」ということです。そこで使われるのが「遺伝子操作」です。これを使い蚊が蚊を退治するようにしてやればいいのです。と言っても遺伝子を組み替えたとしても蚊の行動を逐一操ることができるというわけではありません。そこで蚊が交尾を行った際に発動するような遺伝子の罠を仕掛けて次世代、次々世代の蚊がそれに陥るようにします

不妊オス

蚊やハエといった多くの昆虫のメスは交尾を一生で一回しかしません。一度受けた精子を溜めておき一生使い続けるのです。この昆虫の特徴を利用し、あらかじめその精子を不能なものにしておけば、そのメスの産む卵は全て孵らなくなります。それが不妊オス蚊を利用した根絶法です。

まずオスの蚊に放射能を照射し、遺伝子のあちこちを損傷させます。するとその遺伝子のいくつかが突然変異を起こしてしまうのです。あとはこの遺伝子が突然変異したオスの蚊を野生に放ち、野生のメスと交尾するのを待てばよいのです。

この方法の欠点としては、その対象となる蚊のメスの数に対応した膨大な数の不妊オス蚊を用意しなければならない点です。不妊オス蚊はその性質から当然増加するということはなく、野生に放った後は減少していく一方です。また遺伝子を突然変異させる影響で不妊オス蚊は寿命や生存能力が著しく下がってしまう点も考慮しなくてはなりません。

遺伝子操作による蚊の性質変化

近年の遺伝子操作技術の発展は目覚ましく、不妊オスのように強制的に遺伝子を破壊するだけでなく、ある生物の遺伝子を変化させたり、外来の遺伝子をある生物に導入したりといった遺伝子操作方法がすでに確立されています。この技術を蚊に導入することで人間的に都合の良い性質を持った蚊を作り出すことができるのです。人間に都合のいい性質とはここでは「ある条件を満たせば死亡する」または「ある条件を満たせば不妊状態になる」といったものです。

例えば「tTA」というタンパク質を体内で作りだすように遺伝子を組み替えた蚊などは上記の良い性質を持っています。このtTAというタンパク質が細胞内に蓄積すると蚊は死んでしまうのです。それでは実験室から放つ前にすべての蚊が死んでしまうのではないかと思われるかもしれませんがテトラサイクリンという抗生物質を飲ませておけばtTAは作られなくなるのです。このtTA生成能力を持った蚊を野に放てば、交配によりtTA生成能力が受け継がれて子孫は全て死亡します。この遺伝子組み換え蚊が放たれた国では80~90%のネッタイシマカを減少させることに成功しているそうです。

特徴としては実験室内では普通に生存でき、かつtTA生成能力を持った蚊同士で交配できるため普通に飼育しているだけで勝手に繁殖していくので数を増やすのが容易な点です。これは不妊オス蚊ではできない画期的な長所です。